登録販売者の過去問は合計点で採点しない|10ブロック分の使い方と、3章が全体を決める理由
この記事の結論
- 試験問題は全国10ブロックで別々に作られる。過去問は1年あたり10セット存在する
- 各都道府県が試験後に問題と解答を無料で公開している
- 採点は合計点ではなく章別で見る。各章35%(県により40%)を割れば合計点にかかわらず不合格
- 第3章を足切りぎりぎりの14問で通す組み立ては、残り80問で87.5%が必要になり成立しない
- 解き始めるのはテキストを全部読んだ後ではなく、1章読み終えた時点
- 手引きの改訂をまたぐ第4章の法規は、古い過去問と現在の正解がずれる
この記事を監修
平沼柊哉
登販道場 代表
登録販売者試験の過去問には、他の資格試験にない事情があります。問題が全国10のブロックで別々に作られていることです。
同じ年度でも、北海道・東北ブロックで出た問題と、関西広域連合で出た問題は違います。つまり「令和7年度の過去問」は1セットではなく10セット存在します。この構造を知らないまま自分の受験地の問題だけを解いていると、手に入るはずの演習量の大半を使わずに終わります。
この記事の対象読者
- 過去問を解き始めたが、何年分やればいいのか決めかねている方
- 合計点は取れているのに模試で不合格判定が出た方
- テキストを読み終えてから過去問に入ろうと考えている方
過去問は買うものではなく、公開されているもの
各都道府県は試験の終了後、その年の問題と解答を公式サイトで公開しています。費用はかかりません。市販の問題集を買う前に、まずここを確認してください。

10ブロックの内訳は、北海道・東北、北関東・甲信越、南関東、北陸・東海、関西広域連合、奈良、中国、四国、九州・沖縄といった区分です。同じブロックに属する県は同じ問題を使うため、たとえば南関東で受験する方は、東京・神奈川・千葉・埼玉のいずれのサイトから取っても同じ問題に行き着きます。
2026年度の試験日はブロックごとに異なり、8月22日から12月下旬にかけて実施されます。受験日が遅いブロックの方は、先に実施されたブロックのその年の問題を演習に使えます。同じ年度の最新傾向を、本番前に手に入れられる立場にあります。
「何年分」ではなく「何セット」で数える
過去問の量をたずねる質問はたいてい「何年分やればいいか」という形をとりますが、この試験では年数が量の目安になりません。1年に10セット出るからです。
直近3年で30セット、5年なら50セット。全部を解く必要はありませんが、量の見積もりを年数で立てると実態と桁がずれます。
現実的な組み立ては次の形です。自分のブロックの直近5年をまず通し、そのうえで他ブロックの直近2〜3年を足す。同じ手引きから作られている以上、他ブロックの問題も出題範囲としては同じです。むしろ自分のブロックだけを繰り返すと、答えを覚えてしまって正答率が実力を映さなくなります。
他ブロックの問題を混ぜる利点はもう一つあります。同じ論点でも、ブロックによって問い方の角度が違います。第3章の成分であれば、ある県は副作用から、別の県は禁忌から問う。角度を変えて当たった論点は、知識としての定着が明らかに違います。
採点は合計点ではなく、章ごとに出す
過去問を解いた後、合計点だけを記録している方が多いのですが、それでは合否の予測になりません。登録販売者試験の合格基準は二段構えです。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 総得点 | 120問中84問(7割)以上 |
| 各章 | 35%以上(都道府県によっては40%以上) |
各章の35%を問題数に直すと、次の数字になります。
| 章 | 出題数 | 35%の足切り | 40%の場合 |
|---|---|---|---|
| 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 | 20問 | 7問 | 8問 |
| 第2章 人体の働きと医薬品 | 20問 | 7問 | 8問 |
| 第3章 主な医薬品とその作用 | 40問 | 14問 | 16問 |
| 第4章 薬事関係法規・制度 | 20問 | 7問 | 8問 |
| 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 | 20問 | 7問 | 8問 |

合計で84点に届いていても、たとえば第2章が6問なら不合格です。過去問を解いたら、必ず章ごとに正答数を出してください。 合計点だけを見ている限り、この落とし穴は最後まで見えません。
第3章の得点が、残り4章に要求される精度を決める
章別に採点すると、第3章の扱いが全体の設計を左右することが数字で見えてきます。
第3章を足切りぎりぎりの14問で通したとします。合格に必要な合計は84問なので、残る80問(第1・2・4・5章)で84−14=70問を取る必要があります。正答率にして87.5%です。 4つの章すべてで9割近くを取り続ける前提は、現実的な計画とは言えません。
第3章を28問(7割)まで持ち上げると、残り80問で必要なのは56問。こちらは70%で、他の章と同じ水準です。
つまり第3章は、そこで何問取るかが他の4章に要求される精度まで決めてしまう章です。足切りを回避する対象として扱うと、計画そのものが崩れます。40問という配点の重さは、失点したときの跳ね返りの大きさとして効いてきます。
第3章の具体的な攻略は第3章を得点源に変える科学的暗記法と頻出成分リファレンスTOP30にまとめています。
テキストを読み終えてから、では遅い
過去問に入るタイミングでよくある失敗が、5章すべてを読み終えてから演習を始める進め方です。第1章を読んだのが3ヶ月前になっていて、内容を覚えていない状態で解くことになります。
合格基準が章別である以上、仕上げ方も章別にするのが自然です。1つの章を読み終えたら、その章の過去問に取りかかる。読んで、解いて、間違えたところをテキストに戻って確認する。この往復を章ごとに完結させてから次の章に進みます。
この進め方には、弱点の発見が早いという効果もあります。第2章が苦手だと分かるのが学習開始から3週間後であれば手当てができますが、試験1ヶ月前に判明した場合は打てる手が限られます。
章ごとの進め方と全体のスケジュールは登録販売者の独学勉強法で扱っています。
復習なし(一夜漬け)
分散学習(適切なタイミングで復習)
※ 数値はイメージです。実際の忘却曲線はエビングハウスの無意味綴りの実験に基づいており、意味のある知識はこれほど急には忘れません。
古い過去問がそのまま使えない範囲がある
過去問には賞味期限があります。ただし全章が一律に古くなるわけではありません。
注意が必要なのは第4章の薬事関係法規です。制度改正が手引きに反映されるため、改訂前の過去問では現在の正解と食い違う設問が出てきます。古い年度で第4章を解くときは、解答をそのまま覚えず、現行の手引きの記載を確認してください。
第5章の適正使用・安全対策も、副作用報告や添付文書の扱いに変更が入ることがあります。
一方、第1章・第2章・第3章の基本部分は改訂の影響が小さく、10年前の問題でも演習として成立します。人体の働きも医薬品の成分も、数年で入れ替わるものではありません。古い年度は捨てずに、章によって扱いを変えてください。
第4章の攻略は第4章 攻略ガイドで扱っています。
まとめ
過去問の使い方でつまずく原因は、量でも根気でもなく、数え方と採点の仕方にあります。
1年あたり10セット出るので量は年数で測らない。採点は合計点でなく章別で出し、各章の足切りに届いているかを毎回確認する。第3章で何問取るかが残り4章に要求される精度を決めるので、ここを足切り回避の対象として扱わない。
登販道場では、過去問をブロック別・章別に演習でき、章ごとの正答率がそのまま見える形にしています。合計点では見えない足切りの危険を、演習の段階で拾えるようにするためです。まずは第3章の正答率から確認してみてください。
参考文献・情報源
- 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(出題範囲・改訂内容)
- 厚生労働省「登録販売者試験実施要領」(試験の実施方法・合格基準)
📝 更新履歴
- 2026年8月15日:初版公開。2026年度の試験日程と現行の合格基準をもとに作成
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