登録販売者試験に「模試」はなぜ必要か|点数より偏差値・順位で現在地を知る【公開模試】

この記事の結論
- 模試は「実力を測る道具」であると同時に、思い出す練習で記憶を固める学習手段(テスト効果)
- 「点数」だけでは合格との距離は分からない。偏差値・順位・分布で初めて「全体の中の自分」が見える
- 登録販売者試験は項目ごとに足切りがあるため、相対的な弱点把握がとくに効く
- 登販道場の公開模試は、同一問題・偏差値・順位・分布・毎週開催・完全匿名でその空白を埋める
この記事を監修
平沼柊哉
登販道場 代表
登録販売者試験の勉強をしていると、多くの方が同じ壁にぶつかります。
「過去問は解いている。点数も出る。でも、この点数で本当に合格に近いのか、まだ足りないのか、分からない」
一人で勉強していると、自分の実力を測る物差しが「正答率」しかありません。70%取れたとして、それが受験者の中で上の方なのか、真ん中なのか、まだ下なのか ── そこが見えないまま、不安と一緒に走り続けることになります。総得点だけでなく項目ごとの足切りもあるこの試験では、なおさらです。
この記事では、なぜ登録販売者試験の対策に「模試」が効くのかを学習科学の知見から整理し、そのうえで「点数」だけでなく偏差値・順位・分布で自分の現在地を知ることがどれだけ大事かをお話しします。最後に、登販道場が用意している公開模試の仕組みも、正直にご紹介します。
1. 模試はなぜ効くのか ── 「測る道具」ではなく「学ぶ手段」
模試というと「実力を測るテスト」というイメージが強いかもしれません。でも、認知科学の研究では、模試(テスト形式の演習)は測定ツールであると同時に、記憶を定着させる学習手段そのものだと分かっています。
思い出す練習が記憶を強くする(テスト効果)
人の記憶は、テキストを「読み込む」だけでは定着しにくく、「思い出す(retrieve する)」という作業を通して、初めて本番で取り出せる形になります。これはテスト効果(testing effect / retrieval practice)と呼ばれ、Roediger と Karpicke による有名な研究(2006年)でも、数日〜数週間後の記憶は「再読」より「テストを受けた」グループのほうが明確に強かったことが示されています。
テキストを読み直すと「分かったつもり」になりやすい。でも、問題形式で思い出そうとすると、成分名やその作用、副作用、関連する法規が、本当に頭に入っているかどうか容赦なくあぶり出されます。模試は、その「思い出す回数」をまとめて稼げる装置なのです。

「できるつもり」のズレを正す(メタ認知の校正)
もう一つ大事なのが校正(calibration)です。多くの学習者は、自分の理解度を正確に自己評価するのが苦手で、できていない範囲ほど「だいたい大丈夫」と感じてしまう傾向があります(いわゆる自信過剰)。その結果、本当は手を入れるべき「主な医薬品とその作用」を後回しにし、得意な分野にばかり時間を使ってしまう。
登録販売者試験は、項目ごとに足切りラインがあります。総得点が足りていても、苦手な1項目が基準を割れば不合格です。だからこそ、模試で「思っている実力」と「実際の実力」のズレを項目別に突きつけられることに、大きな意味があります。
定期的に受けることで「間隔」が生まれる(分散学習)
記憶は、一度にまとめて詰め込むより、間隔をあけて何度も触れるほうが長期に残ります(分散学習・spacing effect)。Cepeda らの大規模なメタ分析(2006年)でも、間隔をあけた学習が長期保持に有利であることが繰り返し確認されています。
定期的に開催される模試は、この「間隔をあけた思い出し」を、自分で意識しなくても自然に作ってくれます。毎週1回、決まったタイミングで本番形式に向き合う ── それ自体が、忘却に抗う仕組みになるわけです。

本番の「通し方」を体に入れる
登録販売者試験は全120問。本番は、知識があっても最後まで解ききるペース配分が必要です。即答できる問題から確実に取り、迷ったら飛ばし、最後に見直す ── こうした立ち回りは、本番と同じ問題数を通しで解く経験を重ねるほど、落ち着いてできるようになります。
2. 「点数」だけでは足りない ── 偏差値・順位・分布が教えてくれること
ここからが本題です。模試を受けても、結果が「あなたは70%でした」だけだったら、実はもったいない。
なぜなら、合否は「絶対の点数」ではなく「受験者全体の中での位置」と深く関わっているからです。同じ70%でも、
- 受験者の多くが80%取れている回の70%なのか、
- 受験者の多くが50%しか取れていない難しい回の70%なのか、
で意味はまるで違います。前者なら危ない、後者ならむしろ上位です。点数だけでは、この違いが見えません。
偏差値という「共通言語」
そこで役立つのが偏差値です。偏差値は、得点を「平均50・ばらつき(標準偏差)10」の物差しに変換した値で、計算式はシンプルです。
偏差値 = 50 + 10 ×(自分の得点 − 平均点)÷ 標準偏差
平均ちょうどなら偏差値50、平均よりかなり上なら60や65。日本で育った多くの人は、中学・高校の全国模試で偏差値に触れてきました。河合塾・駿台・進研模試といった全国模試が「同じ問題を全国で受け、平均と標準偏差から各自の位置を出す」仕組みで、進路指導の物差しとして長く使われてきた歴史があります。だからこそ、偏差値は直感的に意味が伝わる実力の共通言語なのです。
登録販売者試験の対策では、この偏差値がほとんど使われてきませんでした。でも、相対的な位置を知ることの価値は、大学受験でも資格試験でも変わりません。

順位と分布で「あと少し」が見える
偏差値に加えて、自分が上位何%にいるか(順位)と、得点がどう散らばっているか(分布)が分かると、戦略が一気に立てやすくなります。
- 上位30%にいるなら「この調子で穴を埋めれば届く」
- 分布の山がもっと右(高得点側)にあるなら「平均がそもそも高い=もっと上げないと安全圏ではない」
「あと何点上げれば、どのくらい上の位置に行けるのか」が見えると、漠然とした不安が、具体的な行動に変わります。
3. 登録販売者対策アプリの「空白」── 多くは点数しか見せてくれない
ここで正直にお伝えしておきたいことがあります。
登録販売者試験の分野には、過去問や模試のアプリがたくさんあります。スキマ時間で解ける一問一答、本番形式の演習 ── 学べる環境は、昔よりずっと豊かになりました。
ただ、それらの多くに共通する「空白」があります。結果が「あなたの点数・正答率」止まりで、「他の受験者の中で自分がどこにいるか」を教えてくれないのです。全国規模の偏差値や得点分布まで、しかも本番を想定した同じ問題を一斉に受けた母集団の中で示してくれるものは、なかなか見当たりません。
大学受験では当たり前だった「全国模試で自分の位置を知る」体験が、登録販売者試験の対策にはまだ持ち込まれていない。私たちが公開模試を作ったのは、この空白を埋めたかったからです。
4. 登販道場の「公開模試」── 仕組みを正直に
全員が「同じ問題」を解く
通常の演習モードは、出題プールから毎回ランダムに問題が選ばれます。手軽ですが、人によって問題が違うので、偏差値や順位を出すと不公平になります。そこで公開模試は、その回の参加者全員がまったく同じ問題セット(同じ問題・同じ並び)を解く形にしました。これで初めて、公平な比較ができます。
偏差値・上位%・得点分布が見える(完全匿名)
結果画面では、自分の正答率に加えて、偏差値・上位何%か・得点分布のグラフが表示されます。偏差値は前述の式で算出します。なお、安定した数字を出すために、参加者が10人に満たない回では偏差値は集計中扱いにしています(少人数だと偏差値が暴れて意味をなさないため)。順位や分布は早い段階から見られます。
そして大前提として、他の受験者の名前や個人情報は一切表示されません。 分布グラフも匿名の集計だけ。安心して「全体の中の自分」を確認できます。
毎週ペースで開催し、結果は一斉発表
公開模試は、受付期間を設けて開催します(標準では1週間ごとのペース)。受付が締め切られた後、結果は決まった日に参加者へ一斉に発表されます。締め切りまでにみんなが解き終わってから集計するので、フェアな偏差値が出せる仕組みです。これから開催・受付中・終了した回は、アプリ内の開催スケジュール一覧から確認できます。
本番と同じ問題数・制限時間
出題数も制限時間も本番に合わせています(全120問・本番に準じた制限時間)。時間切れになると自動で終了するので、本番さながらの時間配分を毎週リハーサルできます。毎週この公開模試で「思い出す練習」を繰り返し、「自分の現在地」を確認しながら勉強の配分を直していく ── 1章で見た学習科学のポイントを、自然と回せる設計にしているつもりです。
5. 登録販売者試験での使い方
登録販売者試験は年1回・都道府県別(全国10ブロックに分かれ、ブロックごとに試験日が異なります)。全120問を、5つの項目から出題します。合格には、総得点でおおむね7割以上かつ各項目で定められた基準(足切りライン)以上の、両方をクリアする必要があります(足切りの割合は都道府県によって異なります)。合格率は例年4割前後です。
ここで効いてくるのが、項目別に弱点を把握できることです。総合点が届いていても、「主な医薬品とその作用」など特定の項目が基準を割れば不合格になります。公開模試で全体の中の立ち位置を測りつつ、足を引っ張っている項目を早めに見つけて重点的に潰す ── この使い方が、足切りのある登録販売者試験ととても相性が良いのです。
※試験の日程・出題数・出題範囲・合格基準は年度や都道府県によって変わることがあります。受験前に必ず、お住まいの都道府県の試験案内や厚生労働省の手引きで最新情報をご確認ください。
まとめ
- 模試は「測る道具」であると同時に、思い出す練習で記憶を固める学習手段(テスト効果)。
- 定期的に受けることで間隔学習になり、項目ごとの弱点と相対位置を正しく自覚できる(校正)。
- ただし「点数」だけでは合格との距離が分からない。偏差値・順位・分布で初めて現在地が見える。
- 多くの登録販売者対策アプリはまだ点数しか見せてくれない。登販道場の公開模試は、その空白を埋めるために、同一問題・偏差値・順位・分布・毎週開催・完全匿名で用意しました。
一人で勉強していると、自分がどれだけ合格に近いのか分からず、不安になるのは当たり前です。その霧を少しでも晴らす道具として、よかったら公開模試を使ってみてください。
参考文献・情報源
- 厚生労働省 試験問題の作成に関する手引き
- 厚生労働省 医薬品関連情報
- Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-Enhanced Learning. Psychological Science, 17(3).
- Cepeda, N. J., et al. (2006). Distributed Practice in Verbal Recall Tasks. Psychological Bulletin, 132(3).
📝 更新履歴
- 2026年6月2日:初版公開
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